タンパク質をはじめとする生体高分子は固有の生理機能を有するが,それは個々の分子の特異的な立体構造と密接に結び付いている.従って,あるタンパク質の機能を分子レベルで究明するためには,その立体構造を明らかにする必要がある.また人工タンパク質のデザインや新薬の開発においても分子の立体構造に基づく戦略がますます重要となっている.本実習ではRNA分解酵素であるリボヌクレアーゼT1 を取り上げ,その基質アナログである3’-GMPとの複合体の立体構造をパソコン上で表示してみる.さらに,リボヌクレアーゼT1 の天然構造(活性型)と熱変性により失活した構造を比較することによって,タンパク質の立体構造と変性に対する視覚的理解を深める.