生命の設計図である遺伝情報の人為的操作を可能にする遺伝子工学技術は、その誕生以来、基礎生命科学とバイオ関連産業の急速な発展をもたらしてきました。例えば私たちの社会・生活に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス感染症を予防するためのワクチン(mRNA、ウイルスベクター)や治療薬として期待されている抗体医薬品は遺伝子工学技術によってつくられています。ヒトゲノム配列決定やゲノム編集技術の登場により、ますます身近になりつつある遺伝子工学と社会とのかかわりについて、私達は正しい理解にもとづき自ら考える力を養うことが求められています。本講のねらいは、『つくる生物学』とも言える遺伝子工学の歴史、および様々な実験手法の原理と応用を修得することによって、生命科学を学び、その研究に携わる者にとって必要不可欠な知的基盤を確立することです。
- 担当者: 冨塚 一磨 tomizuka